脱スピリチュアル・脱自己啓発

アメブロ『脱スピリチュアル・脱自己啓発』の改訂版。スピリチュアルにハマる…自己啓発セミナーに通い続ける…で、幸せは手に入るのか?

2-1 事例1_苦労を引き寄せるA子さん

第2章は、私が実際に出会ったスピリチュアルにハマっている人たちの事例を挙げながら、「スピリチュアルにハマる」とはどのようなことか考えていきたいと思います。

 

自分自身に自信がないと、自分の声が聞こえない。
自分の声が聞こえないから、不安になる。
不安になるから、誰かから安心をもらいたい。

これはどうしようもない人間の心理です。ただし根底に「自己肯定感の欠如」があることが条件です。自己肯定感がしっかり育まれた人は、成功しようが失敗しようがそう不安になりません。不安になるくらいなら「さあ、つぎはどうするか?」を考えます。


一方、自己肯定感が低い人は(どうせ自分は…)(だから自分は…)と自分自身に対して批判的であるか、その批判的な感情に向き合えず自己愛という鎧を身に着け自分の都合の良いように現実を変えて受け取ろうとします。

自分に自信が無いと、自分の身の振り方を決定できません。誰かのアドバイスに従ってしまったほうがラクなのです。自己肯定感がありアイデンティティーをしっかり持った人にとって「決断を他人に任せる」ことほど恐ろしくてつまらないものはありません。ここに大きな違いがあります。

そして、自己肯定感の低い人が(未来をみてもらいたがり)(自分の運命を好転さてもらいたがり)ます。占いなどというものが、その最たる行為でしょう。


確かに物事を判断するとき、選択するとき、迷うことはあります。なぜ迷うのでしょうか?それは、
「失敗したくない」
に尽きます。
(あの人と結婚していいか?)(この会社に転職していいか?)(離婚していいか?)など、自分の人生に大きく影響する物事に対して選択を強いられた時、「失敗したくない」ために、うまくいく選択を知りに占いに行くのです。


さて、問題です。


もし、占いで本人にとって最高の選択ができるのであれば…、どんな世の中になっていますか?

誰も悩まない、誰も苦しまない、みなが幸せで、楽しく過ごせる世の中になっていいはずです。ところがそうはいかない。

 

私は、スピリチュアルにハマってスピリチュアルショッピングをしている知人が何人かいます。その中の一人、A子さんを紹介しましょう。彼女とは10年近く付き合いがありますが、いまだに同じ問題で迷い悩んでいます。あっちの占いがイイ、こっちのスピリチュアルカウンセラーがイイ、こんど自己啓発セミナーに行ってくる、瞑想会に参加する…、そんなことを10年以上も飽きも、気づきもせずに続けています。
彼女といろいろな話をすると、すぐに彼女の抱えている問題や境遇は彼女自身の問題であることが私には分かります。が、それをズバリ言っても彼女が聞く耳を持っていないことも分かります。そして、会うたびに同じような愚痴や悩みを聞くことになるのです。
このブログではA子さんの例を挙げて説明していきます。
※ただし個人が特定できないように内容に大きく影響しない部分を変えています。

 

【ケース1】モラハラ気味の彼に振り回されるA子さん
 バツイチで2人の子供を抱えながら、キャリアを積み自立しているA子さん。離婚後、ほどなくしてある男性と出会いました。彼は妻子持ち。ただ、彼本人は「家庭内別居状態で、離婚も考えている」とのこと。仕事を持っている彼女は、離婚経験からもう結婚という形態にとらわれたくないといい、恋愛関係を続けています。
 ただ、彼との関係に問題があります。彼は、いわゆるモラハラ系タイプで、会えば彼女に対して一挙手一投足にケチをつけます。そしてワガママで自分勝手を彼女に押し付けます。ちなみに離婚した元夫も似たようなタイプでした。

こんな人なら別れてしまえばいいのですが、彼女はいろいろな方法を使って彼を理解しようとします。そのひとつがスピリチュアル。


前の離婚を決めた頃から、彼女はスピリチュアルに興味を持つようになりました。インターネットでいろいろなカウンセリングやヒーリングに行くようになり、自分の問題を解決しようとしました。数を使った占い系などのセッションを受けて互いのナンバーを知って関係性を良好にする方法を試みたり、高次元の存在にアクセスできる天使だという人からカウンセリングを受けたり、、、その過程で、ある本と出合い、著者であるスピリチュアル系のコーチングに参加したのです。そこで自分と似た仲間たちと知り合い、スピリチュアル熱が一気に上がりました。
 このコーチングは参加者たちをグループ化して互いに励まし合うというやり方をします。初回にカリスマ講師が参加者たちの心をほぐし、関係性を深めるセッションを行います。ここで、彼女は心の友を得たと思ったのです。
 結局、彼女は正式に離婚したのですが、抱えている本来の問題は何も変わっていません。ただし、このグループは彼女にとって居場所と仲間との集いの場になりました。現在は、このコーチング講師がたびたびおこなう「瞑想会」や「セッション」などのイベントに参加しています。そのグループのなかで、スピリチュアル系のヒーラーやカウンセラーになる人が出てくるようになり、彼女はそうした仲間に相談に行ったりもしているそうです。

このコーチングのおかげで彼女は、「彼との関係に納得した」と言います。

私は彼の成長を助ける母親のような存在なのだ。と。

(あなたはエネルギッシュで有能な素晴らしい女性です。その力量をもって、まだ未熟な彼の成長を助けるのです)という関係性への気づきが、スピリチュアルによってもたらされたというのです。

 

似たような男性に惹かれてしまう、、、ここに彼女は気づいていません。わざわざ振り回されるワガママな男と付き合っては、苦労している自分にどこか喜んでいる風でもあります。しかも、彼女はまだ子育て中にも関わらず、気持ちが仕事と彼に心が向いていることもあり、子供は問題行動を起こし、そのたび学校へ出向くなどの苦労をしています。ところがその問題の根源も、自分に在るということは分かっていません。

 

[A子さんの生い立ち]

A子さんは4人きょうだいの3番目。どちらかといえば、親に心配をかけることのないしっかりした子でした。親の期待と注目は長男、一番末っ子の妹は甘えん坊、自分のすぐ上の兄は生まれつきの障害があり、彼女はどこかで寂しさを抱えたまま育ちます。

彼女はきょうだいの中でも最も優秀でした。「いい子でいることで親に認めてもらう」ことを選んだのでしょう。地元の名門公立高から旧帝大へと進学し、大手企業に就職します。

彼女と会うと、自分に自信がみなぎりった様子で(仕事もプライベートも大変な苦労をしながらも立派居乗り越えている)ということを知って欲しいということが伝わってきます。でも、それは他者からも容易く[そう見える]ことが伝わるほど自分の頑張りをアピールしているということになります。ここが、不自然な部分です。

彼女の日常を話してもらうととてもバランスが悪い。とにかくいろいろ大変なことばかり。仕事も、彼との間も、子どもたちも。ときどき自分のきょうだいの苦労話も出てきます。自分自身だけの心が楽しむことをしていません。常にトラブルを抱え、それでも力強くクリアしていく(私ってスゴイでしょ?)が伝わってきます。

彼女の心の根っこに「良い子。スゴイ子でなければ認めてもらえない」があるのです。でも、本人はそこに気づいていません。

本人は頑張っても、頑張ってもラクになれない。どうしても苦労を背負いこんでしまう。・・・その解決にスピリチュアルが選ばれました。

 

そして、どんなスピリチュアルの癒しを受けても、彼女の状況はいまだ何も変わっていません。

 

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さて、

A子さんは何を望んでいるのでしょうか?

私から見れば、いわゆる[引き寄せの法則]でいわれている本人が心から望んでいることを引き寄せる、、、ということを、A子さんは実践しています。

が、A子さん本人の顕在意識は、「幸せになりたい」「彼との関係を良好なものにしたい」「子供たちが良い子に育って欲しい」です。

顕在意識と潜在意識が全く違います。・・・そこに向き合うこともせず、A子さんに、

そのままでいい。そのままのアナタでいなさい。

と言っていいのでしょうか?

 

読者の皆さん、考えてみてください。