脱スピリチュアル・脱自己啓発

アメブロ『脱スピリチュアル・脱自己啓発』の改訂版。スピリチュアルにハマる…自己啓発セミナーに通い続ける…で、幸せは手に入るのか?

3-7 発達障害グレーゾーンにとって見逃せない話

こちらのブログでは、私の身内の話を出したいと思います。なぜなら、スピリチュアルや自己啓発セミナーがここまで流行って、カモにされている人の中に(HSP:ハイリ―センシティブパーソン)や(発達障害グレーゾーン)の人が多く含まれていると思うからです。

そして、私がなぜ「脱スピリチュアル、脱自己啓発」について言い続けているかが、読者の皆さんに少しは理解していただけるものだと思うからです。

 

私の身内に、スピリチュアル系自己啓発にハマった者がいます。仮に名前をSとでも言っておきましょう。

いわゆる「がんばらなくていい」「好きな事だけすればいい」という謳い文句で多くの人を勘違い個人主義に導いている自称心理カウンセラーに引っかかりました。

 

Sはそもそも発達障害を抱えています。ASDADHD混合型です。ただし、年齢が年齢なので当時はそう診断されず、本人も自覚できず、ただ『生きづらさ』を抱えたまま中年と言われる年齢に至りました。

Sには会って自分の話ができる友人がいませんが、ネット依存によってSNSでのつながりは幅広く、Facebookの友達は800人近くいます。常に、SNSで自分語りを発信し、リアルでは築けないコミュニケーションの埋め合わせをしていました。

そこで、ネット上の友達から紹介されたのがスピリチュアル、自己啓発セミナーです。

 

紹介されたセミナーに出向いたり、本を読んだりして、行きついた言葉が

『好きに生きていい』『やりたくないことはやらなくていい』だったのです。

 

彼女はもともと持っていた特性(言葉をそのまま受け取ること)によって、本当に、好きに生きて、やりたくないことはやらない人になったのです。

家庭を持っていましたが、家族のための家事はほとんどせず、学生時代に趣味だったカメラのためにしょっちゅうあちこちに出掛け、パートで稼いだ金は自分のためだけにつぎ込み、SNSからネットワークビジネスに勧誘されカモにされ常に金欠状態。大学生になった自分の子供のアルバイト代までせがむようになりました。

その子供が大学を卒業して家を出ると、『好きに生きる』『やりたくないことはやらない』生活はますますエスカレート。もともと偏食だった上に、料理が得意でないSは、スーパーの総菜やスナック菓子などで食欲を満たし、深刻な肥満になると動くのが億劫になり、数十メートルの店にも車で行く始末。

SNSからは、しょっちゅう

「これでいいのだ」

「ありのまま」

「地球は私のために回っている」

などと発信し、自由を謳歌した姿を見せていたSが生活習慣から起因する深刻な病を発症し、寝たきりになるにはそう時間はかかりませんでした。

 

あの自己啓発セミナー講師が言う、『好きなことをすればいい』『やりたくないことはやらなくていい』を実践した結果です。

 

Sは発達障害グレーゾーン。しかもかなり濃いほうのグレーゾーン。他者とのコミュニケーションが苦手で、ACの実母からの過保護過干渉の共依存関係もありました。共依存関係から逃れるつもりで、実家との縁を切ろうとしたものの、実家の援助(主に経済面)を受けたいときだけ実家に頼り、その都度、母親は援助して、挙句、寝たきりになると、支援は夫より実母のほうが自分にとって優しく甘いことをしっているSは、夫と離婚したいと実母に懇願するようになりました。

 

ここで、諸問題を整理します。

【本人の問題】

(1)Sは発達障害グレーゾーン(ASD/ADHD混合型)

(2)Sはコミュニケーション能力の欠如からネット(SNS)依存へ

(3)SNSからスピリチュアルと自己啓発セミナー、ネットワークビジネスを勧められる

(4)スピリチュアル系自己啓発セミナー講師の「好きなことをすればいい」「やりたくないことはしなくていい」を言葉通りに実践

(5)もともと不得意な家事、自己管理を怠り、食べたいものを食べ、運動をせず、健康を害す

 

【親子関係の問題】

(1)Sの母親はAC(父親がアルコール依存症

(2)Sと実母は共依存関係

(3)Sは家庭を持っていたが、Sの役割(家事育児等)は実母が全て介入し、自立の機会がないまま今に至る。起こした失敗はすべて実母が肩代わり。

(4)Sは結婚しても親の庇護のもとに生活したことで、夫婦関係は冷え切った状態が長く続く。『毒親』の本をきっかけに、親との断絶を図ったものの、自立できず困ったことがあると親に助けを求めるため、断絶期間は長く続かなかった。寝たきりになった今、S本人が両親の支援(介護)を望んでいる。

 

発達障害についての理解を促すためにも、さまざまな問題をはらむ可能性があることを、ここで発信したいと思います。

 

ダイバーシティインクルージョンという横文字言葉でニュアンスを曖昧にして、発達障害を持つ人の深刻な問題をうやむやにしてはいないか?という問題です。

 

発達障害をもっている人が生きづらいのは確かです。偏った感覚や敏感さが心身に不調をおよぼし、他者とのコミュニケーション力が上手くないことで人間関係から大きなストレスを生みます。

そういう苦しみの中で生き抜くには周囲からの理解や手助けが必要ですが、同時に、その手助けの中に、スピリチュアルや自己啓発セミナー、ネットワークビジネスが本人に大きく影響し、非常に大きな問題を起こしかねないことも同時に広められるべきだと、近しい人間として考えているのです。

 

Sは発達障害グレーゾーンですが、知能的な遅れはありません。ゆえに、理解できる物事によってはは非常に理解できることもあります。一方で、恐ろしいほどに偏ったものの考え方もします。

しかも、母親からの過保護過干渉、共依存関係から、自己肯定感は全くと言っていいほど無く、その代替に自己愛を自らで育むことで劣等感からの脱出を図りました。

Sの発言は常に上から目線。SNSでは自分を大きく見せ、教え導くような言葉を発信します。自分のネガティブな面は覆い隠し、時には虚言を積み上げて、理想的な人物を演じているかのようです。

一方で、自己愛のバランスを崩し、SNSで弱音を吐くと、800人近くの友達の中から入ってくる2~3人からのコメントは、すべてスピリチュアルがらみの内容。

 

偏って暴走すると、とんでもない世界へ行ってしまう(逝ってしまう)。その大きな要素として、私はずっと自己肯定感の欠如を言ってきましたが、そのほかの大きな要因として発達障害発達障害グレーゾーンが隠されているのだと思うのです。

 

「生きづらい」と大声で言ってもいい時代だからこそ、本当に気をつけてほしいのは、

(カモにされないこと)

(自分の人生を見失わないこと)

(言葉通りに受け取り、間違った方向へ暴走しないこと)

なのです。

 

そのために、健全な当事者グループと言うものがあります。苦しみを分かち合い、自分に向き合いながら自分への理解と、自己肯定感を少しずつ満たしていく方法があります。

まちがっても、スピリチュアルや自己啓発セミナーなどという、「突然」「一気に」不足した自己肯定感が埋まると思わないでほしい。

時間をかけてでも、自分で自分を癒すしかないのです。