脱スピリチュアル・脱自己啓発

アメブロ『脱スピリチュアル・脱自己啓発』の改訂版。スピリチュアルにハマる…自己啓発セミナーに通い続ける…で、幸せは手に入るのか?

1-1 スピリチュアルとはいったい何なのか?

「スピリチュアル」という言葉を聞いて、意味が分からない人はほとんどいません。たとえば、特に女性同士の会話中に「スピリチュアル」という言葉が出ることは、けっして珍しいことではありません。今では、男性に話しても普通に通用する言葉です。
「わたし、スピリチュアルに関することが好きで、神社とかパワースポットと言われている場所によく行くの…」
「スピリチュアルに興味があって、この前、引き寄せセミナーっていうのに行ってきたの…」
「スピリチュアル的に考えると…」
このような話を耳にすると、善意の第三者(全く悪意を持たずにフラットな状態で状況を把握する者)には、(自分に良いことが起きることを願い行動する)姿が見えてきます。
(神社参りに行く)=(願いや思いを叶えたい)
(引き寄せセミナーに行く)=(幸せを引き寄せたい)
つまり、スピリチュアルとは“自分の願いを叶え、幸せになる”ための行動原理だと言えます。
 
スピリチュアルは、英語ではspiritualと書き、霊的なこと、霊魂などを意味する言葉です。英語ではより宗教性の高い意味合いがあり、キリスト教では霊性(超能力的、超人的な能力)を指します。キリスト教は、そもそも天地創造の物語から始まるものなので、超人的な事柄が存在することは不思議ではありませんし、教義とスピリチュアルは互いに存在するために必要な条件だったはずです。

 

一方、日本では、スピリチュアリズムの本場であるイギリスから、スピリチュアルを理論的に取り入れたカウンセリングを日本に広めた江〇啓之氏の登場が日本人向けスピリチュアルブームのきっかけになったことはご存知のとおりです。素地としては、1960~70年代にアメリカで流行し始めたニューエイジ思想があり、それまでの物質主義や人類の進化に重ねた経済的発展が行き詰まったことによる人々の無力感、たてつづけに世界中を巻き込んだ大きな戦争(第一次・第二次世界大戦や冷戦期の国際的危機)による多くの人の不安や心の傷つきを癒すために、精神性を高めることへの探求が進められてきたのでしょう。


日本はアメリカの影響を非常に大きく受けている国なので、ここで、アメリカと日本の社会変化とムーブメントを起こした思想の変遷をざっくりとまとめてみます。

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社会変化と思想の変遷

上記の流れを見れば、社会の変化、とくに人々の価値観を揺るがす事柄が起こると、その不安から救いを求めてさまざまな思想が生まれるのだということが分かります。

生きていればけっして逃れることのできない不安を宗教や思想が解消してくれるのではないかと多くの人が魅了されるのは、人間社会の営みの経緯に沿った自然な流れなのです。